明日はホワイトデーという日だってブレイズが言ってました。
 ヴァレンタインデーのときにわたしは、ブレイズと笛吹さんとシェダルさんと ルークさんにチョコレートをプレゼントしたから、そのお返しがもらえるらしいです。
 「実にくだらない習慣だよ」
 「どうしてどうして?」
 「はるか昔の地球の片隅のちっぽけな島国の製菓会社の陰謀さ。更に大昔の素 晴らしい人の名を借りちゃってさ、馬鹿馬鹿しいったらありゃしないよ」
 「でもねでもね、愛を伝えるいいきっかけになるし、楽しいし、わたしはあっ てもいいと思うわ、うん、思うの!ブレイズはわたしからチョコをもらって嬉しくなかった?」
 「もちろん嬉しかったよ!」
 そう言うとブレイズは、しかめっ面をにっこりステキな笑顔に変えてわたしに 頬擦りしてくれました。
 「プレゼントをもらって嬉しくないことなんかないさ。リーからのプレゼントな らなおさら嬉しいよ!」
 「嬉しい気持ちになれるきっかけをくれる日って、ステキだと思わない?」
 「・・・・・・そうだね・・・!リーがいてくれてホントによかったよ!」
 ブレイズは何にでもけちをつけなきゃ気がすまない性格です。
 でもブレイズは自分でそのことを知っているし、他の人の意見もちゃんときく ように努力しているから、わたしはそこがとってもかわいいと思います!!


ホワイトプリンセス



 わたしはいつも早起きで、スズメさんたちの「腹減った〜〜、メシ〜〜」っていう大 声とともに目を覚まします。
 外見はとっても可愛いのだけれど、言葉はとっても汚いって知ってました?
 ああ、あの声を聞くとわたしもおなかがとっても減った気分になっちゃいます。
 だからわたし、眠っているブレイズを起こさないように、そっと毛布から抜け出 して、いつも通り朝の散歩に出かけることにしました。
 食堂で朝の仕込みをしているおばちゃんたちのところに行ったら、なにか美味し いものをくれるにちがいないです!

 みんな遅起きさんばかりだから、こんな時間にうろうろしている人は誰もいなく て、いつも誰にもぶつからずに食堂までジョギングできます。
 今日も誰にも会わずに食堂へ・・・と思ったら、食堂の入り口のところで大きな紙 袋を持ってうろうろしている笛吹さんを発見しました!
 こんなことってなかなかありません!

 「笛吹さ〜〜〜ん!おはようございます!!」
 「うぁっ!?」
 わたしの声にビックリしたのか、声が裏返ってる笛吹さん。
 「あ、あぁ・・・リーか・・・・・・おはよう」
 わたしの姿を見つけると、目元をちょこっとやさしくしてあいさつを返してくれました。
 「早起きね、おなかすいたの?食堂が開くまで、えーと、まだ1時間はあるの!」
 「あ、いや、そうじゃなくて・・・」
 「でももしね、もしおなかがすいて我慢できないなら、わたしがおばちゃんたち に言って何かもらったげるわ!おばちゃーーん!!おはようございまーーーす!!」
 「うわっ!リ、リー!?」
 お人形さんみたいな綺麗な顔をぎょっと強張らせて笛吹さんが何か言ったけど 、わたしは聞こえないふりをしました。
 笛吹さんくらい美人なおかまさんだと、多分おなかがすいたって人に言いにくい のだと思ったからです。
 わたしが元気よく挨拶すると、厨房の中からおばちゃんがひとり顔を出しました。
 顔なじみのおばちゃんです。
 「あらリーちゃん、おはよう!こっち来なさいな、イチゴがあるよ!」
 「ありがとう!笛吹さんの分もある?」
 「え!?笛吹君もいるの!?」
 おばちゃんが顔をぱっと輝かせました。
 さらにその声を聞きつけて、他のおばちゃんたちも厨房から顔をぞろぞろ出します。
 「ほら、うすいさ〜ん!」
 隅に隠れて固まっている笛吹さんに声をかけると、笛吹さんは顔を伏せながらの そのそと入り口に姿を表して、「おはようございます」と静かに優雅に挨拶しました。
 「あらまぁ!笛吹君こんな朝早くにどうしたの!?」
 「イチゴがあるわよ、ほらこっち来て来て!」
 「男前さんがいると働き甲斐があるわねぇ!あはははは!!」
 「は、はぁ・・・」
 笛吹さんはぼんやりとした返事をしました。
 あまり友達じゃない人とは、いつもこんな感じです。
 でも顔がとっても綺麗だから、みんなそんなことちっとも気にしません。
 「あの・・・今日こんな朝早くにここへ来たのは、これを・・・・・・」
 朝の霧のかかった綺麗な湖のような声で静かに言うと、笛吹さんは手に持ってい た紙袋から可愛らしい小さな包みを取り出しました。
 「ヴァレンタインの時にもらったチョコのお返しで・・・」
 「あらあらあら!!ホワイトデーね!!」
 群がるおばちゃんたちに笛吹さんは一人ずつ、「どうも」とか「どうぞ」とかぼそ ぼそ言いながら包みを渡しました。
 「笛吹君のような美人さんからもらったら、おばちゃん若返っちゃうわ〜〜!!」
 「いや〜ほんとありがとね〜」
 「ほら、イチゴ食べて!リーちゃんにも分けてあげるのよ」
 おばちゃんの一人が小型のボウルに盛ったイチゴを丸ごと笛吹さんに渡しました。
 「朝ご飯サービスするからね〜!!」
 
 おばちゃんたちに手を振ってもらいながら、笛吹さんとわたしは何度も頭を下げ て食堂を離れました。
 おばちゃんたちはみんなとってもいい人ばかりです!

 「この時間なら、他のエイリアンハーフどもがいなくて渡しやすいだろうと思ったんだ」
 エレベーターの中でイチゴを口に放り込んで、笛吹さんが目を瞬かせて静かに言いました。
 右肩に乗せてもらってわたしはそれを見ていたのだけれど、笛吹さんの睫毛は長 くてふさふさでとてもきれいです。
 見惚れていると、わたしの視線に気付いたのか笛吹さんがこっちを見て、いつも のようにちょこっとだけ笑いました。
 「リーにもちゃんとあるぞ、俺の部屋においてある。来る?」
 「やった〜〜!!行く行く!」
  
 笛吹さんの部屋はブレイズの部屋と違ってとても整理整頓されています。
 潔癖症がちょっと入ってる、とブレイズが言ってたけど、ブレイズにもちょっと入 ったほうがいいんじゃないかなとわたしは思います。
 ジャングルみたいで楽しいけど、ルークさんが歩くたびに足の下で何かがバリバリ壊 れるのはダメと思うからです。
 
 笛吹さんが厚手のカーテンをさっと引くと、朝の赤い光が部屋の中に入ってきました。
 習慣なのか、笛吹さんはベッドの側に置いていたいくつかのお花さんたちを、光を たくさん浴びれるようにと窓の近くに移動させました。
 この部屋の中にあるお花さんたちは、ちゃんと世話されていていつも元気いっぱいです。
 「リー、こっちにおいで」
 お花さんを見ていると、笛吹さんが後ろ手に何かを隠しながらわたしを呼びました。
 甘い、とってもいい香りがします。
 どこかで嗅いだことがあるような、懐かしいような、とってもとってもいい香り・・・。

 「さすがに本物は取り寄せることが出来なかったよ。一般人立ち入り禁止地区に 指定されているからな」
 そう言って笛吹さんがわたしに見せたのは、小さな植木鉢に植えられた・・・なんとクティ!!
 わたしたちゴーレムメーカーの主食なの!!
 「キャ〜〜!!キャ〜〜!!クティ!!クティ!!」
 「これはクティじゃなくて、以前話したことがあったけど覚えているかな。パカラ カという俺が研究に使っていたアステロイドの植物なんだ。よく似ているだろう?」
 もちろん覚えています!
 わたしは忘れないほうなの!
 「ありがとう!嬉しい!これ食べれるの!?」
 「もちろん。甘くて美味しいよ」  研究のイッカンとしてパカラカを食べたことのある笛吹さんがにっこり笑ったと き、玄関のチャイムが鳴りました。
 「誰だこんな時間に・・・」
 笛吹さんは無表情に戻ると、ぼやきながら玄関に向かいました。
 時計を見ると、7時半です。
 ブレイズが起きるまでまだ時間があるなぁ・・・・・・と思ってたら、玄関からシェダ ルさんの声が聞こえてきました。
 「オ〜ッス!朝っぱらから女の子を部屋に連れ込んで、実にお前らしくない楽しい 一日のスタートじゃぁないか、笛吹くん!」
 「るせー、・・・で、何のよう?何かあったのか?」
 「イチゴが食べたくてさ〜・・・おっす、リー!今日もいい朝だな」
 「おはようございま〜す!」
 ポンコツちゃんを連れて部屋に入ってきたシェダルさんは、わたしを見ると陽気にあ いさつをかけてくれました。
 水色のチェックのパジャマにスリッパ姿です。
 その後ろから無表情に現れた笛吹さん。
 「イチゴ目的かお前は。ったくどこで嗅ぎつけてきたのやら」
 「オレの部屋の前通った時、『シェダルにも分けてあげよう』とか思っただろ?あれ で目が覚めちゃってさ〜。ついでにホワイトデーのことも思い出したよ、いや〜ありがとう」
 テーブルの上に置かれたイチゴをつまんでにや〜と笑うシェダルさんに、笛吹さんは 少しだけほっぺたを赤くすると、照れ隠しに軽く蹴りを入れました。
 二人はとっても親友です。

 「はい、オレからはこれをプレゼントだ」
 イチゴをほおばりながらシェダルさんがパジャマのポケットから取り出したのは、 白い包みでした。
 笛吹さんに手伝ってもらいながら開けて見ると、《小型長毛種専用毛づくろいキッ ト☆》と書かれたパッケージに、とっても可愛らしいウスベニ色のブラシが入ってました!
 「ブレイズが持ってたのあるだろ?あれだいぶ古くなってたなぁ〜と思って、ブレ イズにも一応お伺い立ててこれにしてみた。つやが出るんだってさ」
 「ありがとう!わたしとっても嬉しいの!!」
 「オレが今梳いてあげたいところだけど、やっぱり一番最初はブレイズにやっても らいたいだろ?」
「ていうか、ブレイズがむくれるに違いない」
 のんびり笑うシェダルさんの後ろで、紅茶を淹れに立った笛吹さんが愉快そうな 口ぶりで言いました。
 わたしも同じ意見です。


 紅茶を飲んでちょっとくつろいでから、笛吹さんにパカラカと毛づくろいセット、 イチゴの入ったボウルを持ってもらって、ブレイズの部屋に向かいました。
 シェダルさんはソファーで眠ってしまったので、毛布をかけてそのままにしておいてます。
 シェダルさんはよく眠ります。
 身体よりも頭を使うからだ、といつか言ってました。

 「ブレイズはまだ寝てるだろうな。ファーストファンタジーの最新作やりこんでなかった?」
 「うん、昨日も遅くまで遊んでいたの!」

 こんなことを笛吹さんと話しながら廊下を歩いていると、色とりどりの髪を したカストル系のハーフさんたちが、数人たむろってタバコをふかしていると ころにソウグウしました。
 キツエンコーナーじゃないのに、とってもマナーが悪いです。
 「あれ〜、これはこれは隊長さま、イチゴをもってどこにお出かけですか〜! ?うひゃひゃひゃ!!」
 「オレたちにもイチゴちょーだい!うぇっへっへへーーげふっ!ゴホゴホッ ゴフッ・・・は〜・・・・・・てめーのせいでむせただろうが、あーー!?」
 全然面白くないことで笑っていたカストル系ハーフさんが、一人で勝手に むせて、自分が悪いのに笛吹さんに文句を言い始めました。
 ブレイズならここで難しい言葉で反撃して、それからイリュージョンでいためつけます。
 でも笛吹さんは無表情のまま、無視して通り過ぎただけでした。
 怒鳴り声をバックに非常階段へと歩く笛吹さんに、わたしは心配になって尋ねました。
 「放っておいて大丈夫?」
 「すぐに追いかけてくるだろうな。速攻返り討ちだけど。エレベーターだと 不利だから階段を使うよ」
 笛吹さんは淡々と言いました。

 笛吹さんの言ったとおり、例の人たちはわたし達の後を追って階段のと ころまでくると、私の乗っていない方の笛吹さんの肩をつかみました。
 「おい!オレ様を苦しめさせておきながら無視たぁいい度胸じゃねーか、あぁ!?」

 この時笛吹さんの目はすでに、夕焼けの終わりの一番夜に近い空の色になっていました。
 やる気満々です。
 笛吹さんは肩を掴んでいる人に何か言おうと、振り返ろうとしました。
 でもそれはかないませんでした。
 肩を掴んでいる人が吹っ飛んだからです。

 「私の仲間に何をする!」
 ルークさんの声が聞こえたなぁと思った時には、階段に4人のカストル系ハー フさんたちが声も出さずに倒れていました。
 それをルークさんが思いっきり踏んだり蹴ったりしています。
 時々ボキボキッと音がするので、骨が折れているかもしれません。
 でもこういうのはジゴウジトクだ、といつもブレイズが言っているので、ルー クさんはやりすぎだけど悪くないのだと思います。
 「大丈夫か、忍?」
 笛吹さんの肩を掴んでいた人の顔を最後にもう一回、グーで叩くと、ルークさ んは不機嫌そうな顔でこちらを振り返りました。
 でも親指をビシッと立ててちょっと自慢そうなので、本当には不機嫌じゃないです。
 笛吹さんはさっきまでのピリピリした雰囲気をきれいに消して、青い目をぱ ちぱち瞬かせました。
 「あ、ああ・・・、大丈夫だ。・・・ていうかお前なんでここにいるんだ?」
 「ジョギング帰りだ。階段をいつも使う。おはよう。おはよう」
 息を少しも乱さないで、ルークさんはまじめにわたしと笛吹さんと二人にそ れぞれあいさつをしました。
 とても丁寧です。
 「二人こそ何故ここにいる。」
 「ブレイズの部屋にリーを送っていく途中なんだ。荷物があるからな」
 「私も行く。だからイチゴが欲しい」
 
 こうしてルークさんが加わりました。
 なんだか「桃太郎」みたいです。
 
 ルークさんは白いウィンドブレーカーに、黒いジャージのズボンを着て、た だの階段でも元気にリズムをつけて下りています。
 毎朝ジョギングしているのかな?
わたしも一緒についていきたいなと思ったけど、多分追いつかないだろうから おねだりはやめておこうと思いました。
 「今日ホワイトデーだけどさ、お前リーにちゃんとプレゼントを用意してるか?」
 「もちろん。忍が持っているのは、忍があげたものか?」
 「ああ、それとシェダルからのだ」
 「・・・・・・私も今渡す。すぐ追いつく」
 そう言うなりルークさんは空間転移を使ったみたいに消えました。
 ブレイズとわたしの部屋のある階についたとき、軽い風が起こってルーク さんがまた現れました。
 とっても早いです。
 「ハッピーホワイトデー」
 ルークさんの大きな褐色の手には、くまの形をした大きなチョコレートが乗っていました!
 「キャ〜〜!!ありがとう!!とっても可愛いの!!」
 「そうだろう。私を崇め奉れ」
 お礼を言うと、ルークさんは満足げに何度も頷きました。
 そしてそれからもう一つ同じものを取り出しました。
 またくれるのかな?と思ってたら、ルークさんは笛吹さんにそれを渡しました。
 「ハッピーホワイトデー」
 笛吹さんは目の前のくまを見てしばらくきょとんとしてたのだけれど、突 然身体を震わせて笑い出しました。
 いつもこういう笑い方をしていたらいいのにな、とわたしは思います。
 「だから違うって!!お前ヴァレンタインの時も『ハッピーヴァレンタイン 』とか言いながらみんなに配ってただろう!?」
 「何が違う?」
 「だーかーらー!」
 笛吹さんはこうしてブレイズの部屋につくまで、一生懸命言葉を尽くしてル ークさんにヴァレンタインデーとホワイトデーについて説明しました。
けれどルークさんはいまいち理解できなかったようです。
 「ではシェダルやブレイズに買ったものは渡さない方がいいのか?」
 「いや、せっかく買ったことだし渡しなよ」
 「キネッサには渡して問題ないのだな」
 「ああ、俺も後で渡しに行くよ」
 どうやらキネッサさんも笛吹さんたちにチョコレートをあげたみたいです。
 「笛吹さ〜ん!キネッサさんには何をあげるの?」
 「ん?俺はバレッタをあげるよ。雑貨屋で可愛いのを見つけたんだ。多分群青 色の髪に映えるんじゃないかな。シェダルはピアスを選んでたな。ルークは?」
 「私はこれだ」
 そう言ってルークさんがポケットから出したのは、やっぱりくまのチョコレートでした。
 笛吹さんがそれを見てため息をつきました。
 「・・・・・・あのさ、キネッサはチョコレート食べれないだろう」
 「何故だ?」
 「彼女はアンドロイドだ」

 結局笛吹さんはルークさんにせがまれて、一緒にキネッサさんへのプレゼント を買いに出かけることになりました。
 「それじゃね。ブレイズが目覚めるまでにイチゴを全部食べたらダメだぞ」
 「ハーーイ!笛吹さん、ルークさん、ありがとねーー!!」
 「ハッピーホワイトデー。よいホワイトデーを!」
 「だから違うって言ってるだろルーク!!」

 二人を見送ってから、わたしはブレイズの寝室に行くと、こっそりベッドにも ぐりこみました。
 ブレイズの胸元に身体をくっつけると、とても温かくて、心臓の音がとくとく 聞こえて安心します。
 目覚し時計が鳴るまで、あと30分。
 ほんの少しの時間だけど、ちょっと眠ろうかな・・・と思ってたらブレイズがも ぞもぞ動いてわたしのからだをひょいっと持ち上げました。
 「お散歩に行ってたの、リー?」
 「ブレイズ!おはよう!!目が覚めちゃった?ごめんなさい!!」
 「ううん、リーのせいじゃなくて白髪のせいだよ。ハッピーホワイトデーって・・ ・何言ってんだかホントに・・・」
 半分しか開いていない目をこすりながら、ブレイズは眠そうに言いました。
 「笛吹さんたちといたの?」
 「うん、そうなの、あのね・・・・・・」

 わたしがさっき起きたことを話すのを、ブレイズは半分しか開いていない眼を しょぼつかせながらも、楽しそうに聴いてくれます。
 「僕が眠っている間に色んなことを体験したんだね、リー」
 「うん!ブレイズも早起きするといいわ!」
 「う〜ん、それは難しいなぁ・・・」
 ちょうどその時、目覚ましのアラームがピヨピヨと鳴りました。
 8時です。

 「ブレイズ、早く起きないとイチゴ全部食べちゃうわよ〜〜」
 「ん〜、ちょっと待ってて」
 
 テレビのある部屋のテーブルの上には、ボウルに入ったイチゴと、植木蜂に植 えられたパカラカ、毛づくろいキット、そしてくまのチョコレートがおいてあります。
 どれも素晴らしい朝に似合った、ステキなものばかりです。
 わたしほど幸せなゴーレムメーカーはこの世にいないんじゃないかなと思います。
 嬉しい気分でそれらを見ていると、どさりと音がして、隣に何かが置かれました。
 
 なんと色とりどりのキャンディの山でした!
 それにちっちゃくて可愛いシャンプーの小瓶までついています!!
 小瓶からは微かに花の香りがしました。
 とってもやさしい、甘い香りです。
   「あのね、僕さ、こういうの考えるの苦手なんだ。だからリーはあまりこうい うの欲しくなかったかもしれないけど、でもね・・・・・・」
 申し訳無さそうに喋るブレイズが、本当に可愛くて可愛くて、わたしはたまらなくなりました。
 「ありがとうブレイズ!!わたしとってもとっても嬉しいわ!」
 「リー・・・!」
 ブレイズは小麦色のほっぺたを赤くすると、嬉しそうにわたしを抱きしめました。
 私が苦しくならない程度の強さです。
 「プレゼントもらうのって嬉しいことなのね!」
 「あげるほうも嬉しいよ!」
 「じゃぁこういう日が楽しい日だってわかった?ねぇわかった?」
 「・・・う〜ん、それについては疑問が残るなぁ・・・・・・」
 「何で?」
 「相手がいない人にはつらいんだよ。例えば笛吹さん。可哀相に、全部義理チ ョコだよ。白髪も自分からあげてばかりだし・・・シェダルさんはわからないけど・ ・・それにほら!リーが廊下であったバカ丸出しカストル系ハーフ!あいつら絶 対義理チョコすらもらってないって!!」
 「それは人のことよ」
 私は胸をはって言いました。
 「ブレイズと私が嬉しければいいの!そうじゃない?」


おしまい


あとがき

ホワイトデー特別企画小説。
書こうと思い立ったのは3月14日16時30分。
リー視点で・・・しか考えていなかった割にはなんとかなったかも(笑)
とにかく甘く、ポップにをコンセプトに書いたわけですが、純真でも小動物でもない作者が 書いたのでか〜なり怪しいなんちゃってリーになったのではないかと危ぶんでいます。
もうええ。
とにかく14日のうちにアップしなくちゃな!
今10時30分!!
何とかなるか・・・!?

〔書庫へ〕