第9章 JUDGEMENT KNIGHT


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 このときシェダルがいたなら、笛吹の心の中でうねりが生じていたことに気付いただろう。
 しかし運の悪いことにシェダルに意識はなく、そして笛吹は相変わらずの無表情だった。
 カンのいいブレイズは、ちょっと機嫌が悪いなぁ程度は感じとっていたのだが、笛吹が激し い怒りに囚われていることまではわからない。
 思い当たらないのも無理はない。
 なぜなら笛吹が精神体のときに見た過去の光景が理由なのだから。
 さらにシェダルとの精神感応による相互作用があったため、真っ向から 打ち寄せあう波が高波を生じさせるような効果が生じていた。
 とにもかくにも笛吹忍は、一見いつも通りに、無表情に、珍しいことに本気 で怒っていたのである。
 そういう伏線もあって、アヴィゲイル教官が映し出されるはずだったス クリーンに、やたらさわやかな金髪の青年実業家が姿を表した時には、笛吹 はおもわず「ちっ」と小さく舌打ちを鳴らしてしまったりして、それを聞いた 他の隊員たちは美しい隊長のらしくない行動に目を見張った。

 『ご機嫌斜めのようですね笛吹さん!相変わらず眩しいご尊顔だ!』

 画面の中のトリスタンは、笛吹の機嫌の悪さを気付きながらも、余裕しゃくし ゃくで爽やか風を吹かせていた。
 社内にある自室でくつろいでいるのだろうか、スピーカーから微かに何かク ラシック音楽が聞こえてくる。
 ちなみに笛吹が死にかけたことを何故知っているのかというと、ブレイズた ちが『カルティケーヤ』に戻る前に、首を断たれたキネッサが火星に一度報告していたからだ。
 ところでトリスタンの顔を見るのは、笛吹とキネッサ以外の面々は初めてだったりする。
 しかし前々から笛吹によって特徴が伝えられるなど、なにかと話題に上っていたので 、ブレイズやリーは、話で聞いていた胡散臭い上司だ!とカンで思った。
 一人、ルークだけが「誰だこいつは?」と、不可解な表情でブレイズ の肩をつついて訊いている。
 そんなギャラリーの様子などそっちのけで、トリスタンは立て板に水の勢いで話し始める。
 『あなたが瀕死だと聞いたときはさすがの私も驚きましたいやはや、全宇宙至 高の美を損なう大惨事の部分的加担者として私の名が連なれることは非常に不本意で すからね!全ての美の擁護者という私のレーゾン・デートルに関わるところでしたよ 全く!あぁ勿論自分の存在理由についてばかり考えていたのではなく貴方の容態につ いても心から心配していたので安心なさってください、はっはっは!さて、 なにか報告ですか?』

 口を挟む機会を伺っていた笛吹は、ここでようやく話す機会を与えられた。

 「・・・・・・俺はアヴィゲイルにつないでもらうよう、交換手に頼んだはず だったんですが、どこかで手違いがあったみたいですね。失礼しました、それでは・・・」
 『私がこちらにつなげるように指示したのです。私は実動課の最高責任者なの ですから、何も問題はないはずです』
 「お言葉ですが、例えば実戦経験のない部長に戦闘等の質問をしたとこ ろで、俺が得たい返答が返ってくるとは思えないのですが」
 隣でブレイズが「おぉーっ!」と小さく驚きの声を上げた。
 シェダルというストッパーのいない笛吹は、不機嫌さも手伝って、上 司に対するものとは思えない、普段なら決して言えないであろう発言をし たが、トリスタンは気にした風もなく、涼しげな表情を浮かべている。
 『適切に答えられるか答えられないかはこちらが判断します。今日の笛 吹さんはなんだか刺々しいですね、私という大親友につっかかるなんて、ははっ!』
 思わぬ反撃が来た。
 「だっ、大親友って・・・あ、こら、違うぞ、誤解するな!」
 「やっぱり・・・!」という視線で自分を見つめるブレイズたちの誤解を解 こうと、笛吹は慌てたが、みな意味ありげにふふふはははと笑うだけでとりあわない。
 
 「オレはあんたと友情を築いた覚えは全くない・・・!」
 キネッサまでが首だけで「うふふ!」と笑っているのを横目で見てショ ックを受けながら、笛吹は目の前にあるコントロールパネルのボタンも何 もない部分をダンッと拳で叩いた。
 「大体、ほんの数えるほどしか会っていな」
 『まぁまぁ、そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないですか。 刺々しい笛吹さんには・・・・・・そう、癒しをプレゼントしましょう!』
 笛吹の切なる問いかけを遮ってそう言うと、トリスタンは『アルカミル』と 呼んで指をぱちんと鳴らした。
 途端、BGMに流れていたクラシック音楽の音量が上げられた。
 『リストの「愛の夢」です。私のBGMとしてこれほど最適な名前の曲はないと思う のですがいかがでしょうか?』
 「・・・・・・とても似合っているかと」
 タイトルだけな、と思いながら笛吹は憮然とした口調で答えた。
 短い付き合いながら、トリスタンの胡散臭い性格を感じとっていた笛吹は、 天然でとんちんかんなことを言っているのではなく、からかうためにわざと言 っているのだろうことをわかっていたので、余計不快指数をウナギのぼりに ぐんぐん上昇させていた。
 勿論そうなることも全て、トリスタンは計算尽くだったので、『ウィットに 富んだジョークはここまでにしておいて、さぁ、何かありましたか?』と、自 分が確信犯であることをさりげなくアピールして、笛吹をさらに苛立たせた。
 その苛立ちたるや、陰々鬱々と放たれる殺気に、歴戦のつわものであるルー クがほんのちょびっとだけ怯えてしまったほどだった。
 なにはともあれ、おかまいなしに爽やかな微笑を浮かべる上司に、笛 吹は自分の勝率が限りなく0に近いことを計算してさっさと見切りをつけた。

 「・・・・・・実は、予想外の事態が発生したので、報告と共に命令を仰ぎたくて連 絡をとらせていただきました」
 一呼吸つくと、笛吹は瀕死状態にあったとき、精神体だけ過去に飛ばされた話をした。
 それは、「夢でも見たのだろ?」の一言で片付けられてしまいそうな程、眉唾な話だった。
 がしかし、語っているのは、あのトリスタンが「宇宙で至高の美」と冗談調子ながら 本気で評した笛吹忍。
 感情を全く見せない完璧な無表情の中で動く、さくらんぼのような薔薇のよう な処女のような娼婦のような美しい唇から淡々と紡ぎだされる真剣な言葉は、聞 く者の心の中に美しい旋律を伴いながらするりと溶け込んでいく。
 恐ろしいことに、『絶対美』である笛吹が真面目に語ると、誰もがその真実 性を疑う気にならないのだ。
 ブレイズたちは持ち前の感覚の特異性や免疫から、疑うことのできる余裕を心 に持った珍しい少数派だったのだが、こんなときに笛吹が冗談を言わない分別を 持った大人であることを知っていたし、笛吹の語った採掘現場の様子などは、彼 が知るはずのないのに非常に正確でリアルだった。
 過去に飛ばされた経緯、グリードたちの生態、重力制御による巨人捕獲の失敗。

 『原因はわかりますか?』
 顎に手をやったトリスタンに、笛吹は少し首をかしげた。
 「もう既出の意見かと思いますが・・・巨人・・・もといスーリィの塊はア ンバー星自体から直接エネルギーを得て動いているのではないかと。そ う考えれば、大地から切り離されたことによって活動を停止し、形状を 維持できなくなったことに説明がつく。コンセントの抜けた電子機器の ようなものだと思うんです。」
 そこで一拍おいて、笛吹は渇いた口を唾液で潤した。
 「シェダルが言っていました。星の生命力を具現化したものだと。 壊してはならないものだ、と」
 トリスタンは、息子のテストの答案を見る父親のような目で笛吹を見た。
 『生命力と仰いましたが、巨人どころか星自体まで生物だということになりますね』
 「そうではなくて・・・・・・地球が火山活動を起こすことを生命活動に例えるのと 同じニュアンスで、シェダルは言ったのだと思います。星の持つ活動エネルギー と言ったほうがいいのかもしれない」
 『なるほど』
 にっこり笑うと、トリスタンは『活動エネルギーではなくて、た だのエネルギーと言った方が意味的には近いかな』と呟くように言った。
 「・・・はい?すみません、聞き取れなかったのですが・・・」
 『いや、ただの独り言です。で、その後はどうなさったのですか?』
 少し怪訝そうな表情を浮かべた笛吹だったが、先を促されて、続きを語りだした。
 「その後、シェダルが何者かの気配を感じて・・・そいつに時間を強制移動させられました」
 『時間移動、させられた・・・・・・?人為的に?』
 「はい、シェダルが感じとったので間違いないかと」
 それからあと、トリスタンはもう、口を挟まなかった。
 モニターの前で両手を組んで顎を乗せ、相槌を打つことさえせずに笛吹の話に耳を傾ける。
 いつもなら大げさに反応を返すようなところ・・・例えば天から生えた大きな手によ る時間移動の部分では、普段のトリスタンの言動パターンから考えて『面白い!さ すが笛吹さん、体験なさることがちがう!!』とかなんとかわけのわからないところ で賛美をかますはずなのだが、このとき彼はわずかに目を細めるだけに反応を留めた。
 それはグリードを見た時の反応と少し似通っていたが、そんなことはキネッサしか 知る由もない。
 ただ笛吹はそのわずかな態度の違いを、後々になって思い出すことになる。
 笛吹はこのとき、もっとトリスタンを観察すべきだったのかもしれない。
 一応、なんだか様子がおかしい、と少しは訝しんでいたのだが、話が先発メンバー の死に遭遇した部分に差し掛かるにつれ、活動を一時止めていた怒りの火山がもくも くと煙を立ち上らせ始め、そんなことは煙と共にどこかへ吹き飛ばしてしまったのだ。


 「というわけで、当初受けた任務のうち、行方不明事件の原因究明のみ実行可能で、 それも遂行できたと俺は判断しています。これからの指示を仰ぎたいのですが・・・」
 『・・・・・・そうですね・・・』
 話が終わって、ようやくトリスタンは口を開くと、笛吹の顔をじぃっと見つめた。
 『笛吹さんは、何に怒ってらっしゃるんですか?』
 「・・・・・・別に、俺は怒ってなんかいません」
 その場にいた誰もが、「うそだー」と思った。
 無表情に言い放った笛吹に、トリスタンはいつものさわやかな笑みをそよそよと流し込む。
 『ラージスの社員や先発部隊を食い尽くした醜悪な生き物に?過去に干渉しなかった自分 に?時間に干渉してきた者に?』
 そうつっこまれて、笛吹は自分が怒りを向けている対象がひどく曖 昧であることに気付いた。
 トリスタンが挙げたもの全てに対してである気もするし、全て的の外である気もする。
 多少面識のあった知人が目の前で殺されたことが引き金になっていること は、確かなはずなのだが。
 笛吹は愉快そうに自分に視線を向ける上司から視線を少し外すと、黙って考えた。
 その沈黙をどう受け取ったのか、トリスタンはおもむろに『あな たが怒るほどのことではない』と話を切り出した。

 『笛吹さんが見たものはね、夢だったのですよ』

 瞬間、ブレイズは部屋の温度が急激に下がったような錯覚を感じた。
 隊員たちに恐怖を与えつつ、笛吹はトリスタンに視線を戻す。
 「俺が、現実と夢の区別もつかない馬鹿だ、と言うのか」
 真剣に話を受け止めてくれていた、と思っていただけに、笛吹は高度を上げ た怒りと共に、失望を感じずにはいられなかった。
 「夢を現実と錯覚して報告するほど俺はいかれていない。俺が見たもの は夢なんかじゃない。シェダルが目覚めればわかることだ」
 静かにマグマをたぎらせる笛吹に、トリスタンは白い歯をきらめかせながら微笑んだ。
 『誤解しないで下さい、笛吹さんの夢だとは一言も言っていません』
 「じゃぁ誰の夢だというんだ」

 『宇宙の夢です』

 先ほどとは違う意味での静寂が、操縦室内に広がった。

   『笛吹さんは宇宙の見る夢に巻き込まれたのです。いわゆる「アカシックレコー ド」と呼ばれるもので、宇宙のあらゆるものの記録と言った方がわかりやすいかな。 過去・現在・未来の全てがつまった図書館に、笛吹さんとシェダルさんは足を踏み入 れてしまったんです』
 「な・・・そんな荒唐無稽な話・・・」
 『過去に飛ばされたと言う話は、十分荒唐無稽だと思うのですが』
 「・・・・・・」
 『私はただ、そういう思想を持つ学問の存在をたまたま知っていて、笛 吹さんの体験に説明をつけようと考えた時にふと思い出しただけです』
 トリスタンは画面の外からワイングラスを取り出し、右手に持った。
 枠外からワインの瓶が現われ、グラスに赤い液体を注ぎ込む。
 おそらくアルカミルが注いでいるのだろう。
 『あなたは記されている中でもすでに起きてしまった個所、夢として 存在する部分・・・・・・数多くある中で、さらにその中でも宇宙が夢見るア ンバー星に足を踏み入れた』
 「それはあくまで夢と例えただけであって、現実に起こったことには変わりない」
 『私が言いたいのは、あなたがいかに小さな、些細なことに憤慨しているかということです』
 トリスタンは弄ぶように、ワイングラスを揺らした。
 中で赤い液体がゆらゆらと小さく波打つ。
 『深遠を垣間見たあなたなら、その無為さを理解するより先に知覚し ているはず。どれだけ己が小さいか、己が目の当たりにしている現実 がどれだけ些細なことなのか』
 「・・・・・・たしかに・・・俺はわかっているのだと思う」
 渦に巻き込まれ、様々なものが身体をすり抜けていった時の感覚を思 い出しながら、笛吹は2、3回瞬きをした。
 「でも俺は俺であって、俺の視点でしか物事を測ることができない。 あんたのいう壮大な図書館があったとしても、俺に関する記述なんて隅 の方にある本の中のほんの数行程度しかないのだろう。小さな存在だ。 それでも、小さな存在は小さいなりに観点を持っている。自分のスケール以上の観点があるこ とを知ったとしても、自分の背の高さで見えることにしか、感情はついていきにくいのじ ゃないかな。自分の目の高さよりはるか高みにあるものなんて、それはもう別世界のものだ」
 『開き直りとも聞こえますが』
 「そう聞こえるあんたは何様なんだ。宇宙の視点で物事を語るなんて、俺 たちの世界での現実で生きる上でどれだけ無為なことか、わからないあんたじゃないだろう」

 これにトリスタンは答えなかった。
 少し口をつける程度にワインを飲むと、不機嫌な美しい部下に、これ 以上愉快なことはないといった面持ちで言った。
 『これから5時間、笛吹さんに自由時間を与えましょう。SSの行動 決定権も全てあなたに渡しますから、好きなようになさい。時間内に起 こった全てのことに関しては、私が責任を持ちます』
 笛吹は目を見開いた。
 自分をけしかけているような指令だったからだ。
 『5時間後、SSはアンバー星から完全撤退、即刻火星へ帰還するこ と。以上です。それではただちに行動へ移ってください。・・・・・・あ、 カースレインさん、あなただけ少し残ってもらえますか?あなたのもう一つ の人格に関して伺いたいことがありますので。キネッサもお願いします』



 ルークに不安げな視線を向けつつ、笛吹たちは操縦室から退出した。
 残されたルークはというと、笛吹とトリスタンが話している間中眠っていたこ とを指摘されるのでは・・・?と身構える。(そう、眠っていたのだ)
 そんなルークの胸中の焦りなど知るはずもなく、トリスタンは眠気も吹 き飛ばすさわやかな笑みを放った。
 『さて・・・・・・あなたには一つ任務をお任せしたいのです』
 「任務?」
 『しかも極秘任務です』
 「おぉっ」
 なんだかかっこいい、とルークは思った。
 「何をすればいい」
 『緑のヘチマ状の生き物を一匹、捕獲して欲しいのです』
 「それだけでいいのか?」
 『ただし、こっそりです。笛吹さんたちに気づかれてはなりません』
 「何故、シノブに気付かれてはならないのだ」
 『笛吹さんはそういうことがお嫌いだからです。スタンフィールドさん なんか激怒するでしょうねぇ。もし、この任務がばれたら・・・』
 「バレたら?」
 『間違いなくあなたは笛吹さんたちに嫌われるでしょう。一生 口をきいてもらえないかも・・・』
 「それは嫌だ!」
 ルークはトリスタンを睨みつけた。
 「それにシノブたちが嫌がるようなことを、私はしたくない」
 『それでは笛吹さん本人に頼むしかありませんね・・・・・・あぁ、可哀相な笛吹さん・・・!』
 「ちょっと待て。嫌がっているシノブに何故やらせる?」
 『カースレインさんがやらないのなら、彼にやってもらうしかないでしょう 。スタンフィールドさんとリーさんの能力は、捕獲には向いていない。笛吹さ んは胸に苦しみを伴う秘密を秘めたまま、もがき苦しみのたうちまわり、日に 日に痩せこけ焦燥し、挙句の果てにはもやしのようにひょろひょろになって宇 宙の塵と化してしまうのでしょうね。カースレインさんが任務を断ったばっかりに』
 トリスタンは非常に不条理なことをのたまっているのだが、ルークにそ んなことが理解できるはずもなく、素直に痩せこけた笛吹を想像して衝撃を受けている。
 「私がやるしかないのだな・・・」
 ぼそりと呟いたルークに、トリスタンは重々しく頷いた。
 『つらい任務ですが・・・・・・できますか?』
 「できる」
 トリスタンは目を光らせた。
 『キネッサに麻酔銃をお借りなさい。キネッサに渡しさえすれば、あと は彼女がうまくやってくれます』
 「了解」
 『絶対に、笛吹さんたちに気付かれてはなりませんよ。気付かれた ら最後、あなたは生涯の友人を無くすことになる』



 「それだけのことで笛吹さんもリーさんも、カースレインさんを嫌 うとは思えないのですが。スタンフィールドさんは、まぁお怒り になられるとは思いますけど、任務で行ったとなれば理解してくださるのでは」
 「ええ、そうでしょうとも」
 首をひねる紅茶色の髪の秘書が持つ盆に、トリスタンは手に持っていた空のワイン グラスを置いた。
 「さて、私はこれから仕事に入るとします。アルカミルはそこで待機して いてください。私から指示が下るまで、外部からの接触は全て遮断すること。いいですか?」
 「イェス・マスター」
 にこにこと笑みを浮かべるアルカミルを背に、トリスタンは仕事机に向かう。
 目の前には整然と片付けられている机。
 消しゴムのカス一つ落ちていない。
 「さぁ、ここからが大変だ・・・・・・」
 一人ごちると、トリスタンはそのまま目を閉じた。