VENUS AS A BOY





 「違う」と言うだけでよかった。
 ウスイがその前に言ったセリフに対して、うまくこじつければ誤魔化せたかもしれない。
 しかしこの時、オレは珍しく平常を欠き、そしてウスイに対する過剰な期待から、冒険 心というか捨て鉢な気分が理性とせめぎあっていた。
 否定すべきか、認めるべきか。
 結果、返答に窮して言葉に詰まってしまった。
 その反応は肯定ととられて当たり前だったし、それ以前にオレの表情から ウスイは真実を読み取っただろう。
 オレがテレパシストであることに、ウスイが気付いたのは明白だった。
 
 オレたちは数秒間睨みあった。
 ウスイが何を考えているのか知りたかった。
 しかし、知るのはとても怖かった。
 考えが分からなくても、ウスイから伝わってくる恐怖心が全てを物語っているからだ。
 嫌悪感が感じられないのがせめてもの救いといえば救いか。
 拒絶の言葉が彼の口から飛び出したらどうしよう。
 同種にまで嫌悪されてしまったら、オレは一生分かり合える友を持つこと はできないにちがいない。
 オレはそう考えて、いつのまにか自分の中に芽生えていた恐怖心の存在に、 今更ながら気が付いた。
 身体的暴力、精神的暴力の双方にもはや何も感じることがなくなったオレが今、 友人一人作れないという、ただそれだけのことに恐怖を感じている。
 いつのまに、こんな弱気になってしまったのだろう。
 
 そう、あれやこれや悶々と考えているうちに、ウスイが口を開きかけた。
 その所作を機械越しに見るや否や、平常心を欠いたオレの心は混乱の2文字の域に 、一気に達してしまった。

 「その・・・さっきの」
 「あっち行けよ!」
 
 全部言わさずにオレは叫んだ。
 
 「オレに関わるな!」

 拒絶の言葉を聞きたくない一心での、精一杯の虚勢だった。
 本当なら走ってこの場から逃げ出したかったのだけれど、情けないことに ボコボコに痛めつけられた身体には、それっぽっちのエネルギーも残っていなかった。
 肩付近でふわふわ浮いている視聴覚伝達器をぐいっと腹に抱え込んで俯き、オレは 花壇の上に三角座りしたまま、何も見ない・聴かない意志を態度で示した。
 今のオレにできることといったらそれくらいだった。
 腹にくっついた機械が、オレのいつもより早めの心拍音を拾う。
 膝を抱える腕が震えているのがわかった。
 腕同士で震えを押さえつけるようにして膝を抱え込み、テレパスを身の内に、身の 内にへと一生懸命押し込んだ。

 しばらくして、オレの心拍音よりも小さく、ため息が聞こえた。
 続いて、ざりっざりっと砂地を歩み去っていく音を視聴覚伝達器が拾う。
 機械のレンズを正面に向ければ、歩み去るウスイの背中が見えただろうけど、 音が聞こえなくなるまで、こちらに向けて自分の腹を映し出すがままにしておいた。
 震えが収まるまで、オレはそうして花壇の上の座っていた。
 

:::


 アスティが弁当をカバンごと届けてくれていたので、オレは痛む身体を引きずり ながら保健室に行き、早退する旨を伝えると、教室に寄らずに家に帰った。
 オーランドたちにもだけれど、ウスイに会うのが一番怖かったからだ。

 オレの家は学校からバスターミナルとは逆方向に歩いて15分のところの、閑 静な住宅街の中に3棟並んで屹立している高級マンションの5階にある。
 スーパーのある繁華街から少し遠いので、ちょっと不便なところといえばそうなの だけれど、人通りの少なさが精神的負担を少なからず軽減するので、オレにとってはありがたい。
 ちなみにこんな高級マンションに住めるほど、我が家に金はない。
 それじゃどうしてここに住んでいるのかといえば、研究所にあてがってもらって いるからなんだ。
 物心つく前からハガジ研究所に通っていたオレは、あちこち引っ越しながらも ずっとハガジが提供する家に住んでいる。
 研究所に住み込めばいいだけの話なのだけれど、オレのお袋がそれを許さな かったし、何より小さな頃のオレは、お袋が側にいないとテレパシーを暴走させまくっていた。
 研究所の冷たい雰囲気をオレがやたらめったら嫌がっていたこともあり、研究所のやつ らはオレにかかる精神負担を考慮して、住むところに関して妥協することにしたんだろう。

 ハガジはかなり大きな民間の研究団体で、地球を中心に30近くの研究所をあちこちに 構えていたので、オレがトラブルに遭って転校を余儀なくされた時には、引越し先に困るこ とはなかった。
 学校になんて行かなくても・・・というのがオレやハガジの職員たちの言い分なのだけ れど、コミュニケーションを学ぶ最高の場は学校だというお袋の主張を誰もが退けるこ とができないまま、今日にいたっているわけだ。

 「バカジの奴らみたいになりたくないでしょ?だったら、学校で同じ年代の色々な奴 らを観察して、『人』について学ぶことよ。あんたにはつらいだろうけど、自分を守る 武器になるから」

 小学校に入りたての時、地球人の感情に耐え切れなくて泣きながら家に帰ったオ レに、お袋は人差し指を突きつけてそう言った。
 正しいことは認めるけど、子供でテレパシストのオレには無茶な注文だった。
 それでも反抗せずに学校に通ったのは、テレパシストであるがために、お袋のオレ に対する愛情が見えてしまうからだ。
 一見スパルタな親の愛は、周囲の予想以上に子供を強くさせた。
 おかげさまで、長く生きて10年くらいだろうと見当つけられていたにも関わら ず、オレはのたのたよろめきつつも、今年で17回目の誕生日を迎える。

 とまぁそんな背景を後ろに広げながら、オレはあちこち引越ししては、研究所が提 供する家に住むという生活を繰り返していた。
 今回も、オレが学校に通える距離にあって、研究所からも近くて・・・という物件が、 たまたまここしかなかったというだけのことなんだろう。
 今までで一番いい家だ。
 そういえば、最近ハガジに強力なスポンサーが加わったとか聞いたから、その 影響がちょっとはあるのかもしれない。
 世にも珍しい実験体様が御身体を提供しているのだから、それくらいしてくれ るのが当たり前、っていうのがお袋の言い分だ。勿論オレに異論はない。

 カードキーで玄関を開けると、家の中はいつも通り暗かった。
 お袋は現在、ハガジのコネを使って有名旅行会社で働いているので、昼間 に家にいることは殆どない。
 そんなわけで家事はオレとお袋と二人で分担してやっている。
 今日はリビングのテーブルの上の皿に、弁当の残りのコロッケが2つ、荒く 刻まれたキャベツと添えて置いてあった。
 総菜屋のコロッケだな・・・・・・お袋は仕事に関しては有能らしいけど、料理は からっきしダメな人なんだ。
 でもそんなことは、彼女の人格を評価するにあたって、極めて些細なマイナ スポイントにしかならない。
 子供の贔屓目無しにも、だ。
 

 「疲れちゃったよ・・・」

 一人ごちりながら無味乾燥な自分の部屋に入ると、制服を着たままベッドに倒れこんだ。
 身体のあちこちがズキズキ痛みを訴えたけど、それらを一つずつ点検して手当てする 気力は残ってなかった。
 一週間分の体力を使い果たしたような気分だ。
 オレは毛布に顔を埋めると、今日起こったことを思い返してみた。
 ウスイに会ったことから始まって、今までになくほんと濃い半日だった。
 体育の授業に参加し、ウスイを苛め、リンチに遭い、テレパシストであることがウ スイにばれ・・・・・・あぁ、思い出したくない。
 思い出すたびに、胃のあたりがじんわりと熱くなるような不快感が襲ってくる。
 哀しくなると涙を流し、切ない気分の時には胸が熱くなる・・・・・・精神世界で存在する 意思と、物質世界で存在する生身の身体は、存在領域が違うにも関わらずこんなにも簡 単に影響しあう。
 オレにはそれが不思議でならない。
 感情は頭の中にある何か物質が分泌されることで起こるというから、精神自体も案 外何か質量を伴う物質から出来ているのかもしれない。

 ・・・・・・眠くなってきた。
 睡魔だ。オレの睡魔はいつも唐突にやってくる。
 しかも強烈だ。
 だから、いつも眠くなるたび、このまま目覚めが来なかったら・・・と心配になる。
 オレは重い意識の中、いつでも強いお袋の顔を思い浮かべて安心感を得ようとした。
 でも、今回は何故か、いつでも無表情でびくびくしている男の顔が出てきた。
 なんてこった。
 どうしてウスイが出てくるんだ・・・。
 夢見は最悪に違いない・・・・・・。



 腰のあたりに感じた細かな振動に、オレの意識は覚醒した。
 いつのまにやら眠っていたらしい。
 制服は着たままだけど、ベッドにきちんと横たわって毛布もかけられている。
 自分でした覚えがないから、おそらくお袋が帰ってきているのだろう。
 振動は断続的に続いている。
 メールじゃない。誰かから電話がかかってきたみたいだ。

 朦朧とする意識を叱咤しながら、オレは制服のズボンのポケットから携帯を取 り出すと、通話ボタンを押し、視聴覚伝達器の拾音のレベルを上げた。

 「もしもし」
 『あ、セイラン君!?』

 アスティの声がした。
 
 『昨日何かあった?』
 「昨日って・・・・・・」

 彼女のひどく焦ったような声に、オレは首をかしげた。
 朝早くに研究所に呼び出されたくらいで、他はずっと家で寝てたし・・・と か考えつつ、部屋の時計を見ると8時35分。
 カーテンから差し込む光は、朝のそれで・・・・・・もう朝じゃないか!!
 オレはどうやら昨日の昼に家に帰ってきてから、ずっと次の日の朝まで眠り こけていたみたいだ。
 
 「えーと・・・体育の授業に出て気分が悪くなって・・・そのまま家に帰ったん だけど、それがどうかした?」
 『本当にそれだけ?』
 「どうしてそんなこと聞くの」

 彼女の言いたいことはわからないが、電話の向こうで何かオレにとって良 くないことが起こっているような予感がした。
 その予感が的中したことは、次の瞬間証明された。

 『セイランくん・・・テレパシストなの・・・?』

 鳩尾に氷の槍を差し込まれたような感じがした。
 ウスイの顔がちらついた。
 聖ゾフィエルハイスクールの生徒で、オレがテレパシストであることを 知っているのは、彼だけだ・・・。
 毛布を握りしめながら、オレは内心の動揺を隠すため、いつも通りの声 を出すよう必死に努めた。

 「・・・僕がテレパシスト?どうしてまた」
 『あのね、今朝・・・学校中の教室のホワイトボードに、誰がやったかわからな いけど文字が書かれてたの・・・《セイラン・ディケンズはテレパシストだ》って・・・』

 胸が張り裂けそうだった。

 こういうことは何度かやられたことがある。
 でも、こんなにつらいと感じたのはこれが初めてだ。
 不覚にも、涙が出そうになった。
 こんな・・・こんな裏切り、予想できたのに、オレはそれでも彼のこ とを心の中で信用していたんだ。
 自分と、お袋以外信用できる奴なんていないってわかってたのに、昨日会っ たばかりの奴を、ただ同じエイリアンハーフだからというだけで、彼が同じ孤 独を共有していると、ただそれだけだったのに。
 鼻の奥がツンとなった。
 慌てて目頭を押さえる。
 そんな陰険なことをする馬鹿のせいで、オレが泣くことはない。
 
 『セイラン君?・・・セイラン君・・・』
 「あぁ、ごめん・・・、そんな陰険なことする人が学校にいるとは思ってな かったからビックリしちゃって」
 『そ、そうよね、ほんと陰険なの。ウスイ様なんかもの凄く激怒なさったのよ』
 「・・・・・・は?」

 オレは思わず、ぱちぱちっと瞬きした。

 「どっどうしてあいつが激怒するの!?」
 『えっ・・・わ、わからないけど・・・、さっき教室に入ってきたウスイ様 が、例の文字見て、もう、もの凄く怖い顔したの。あんな顔初めてよ! 凄く怖かったんだから!それだけでみんな失神寸前だったのに、いきな り黒板消しが勝手に動いて文字を消し始めて・・・・・・ウスイ様がサイコキ ネシスを使ったのね。初めてみたわ!』

 どういうことだ。
 ウスイが書いたんじゃなかったのか・・・?

 「それでウスイは何か言ってた?」
 『オーランドを問い詰めてたけど、オーランドは泣きながら違うって・・・ そのまま失神しちゃったの』

 なんだか・・・、たった今までこれ以上上がらないぜってくらいにまで 上り詰めてた感情が、急速に冷やされみるみるうちにしぼんでいくのがわかった。
 ウスイじゃなかったのか・・・。
 考えてみれば、そんな陰険なことをこそこそしても、オレが彼の心を読めばわ かってしまうし、ウスイはそんな所業を人に知られて堂々と生活できるほど 、神経が太くないだろう。
 
 『セイラン君・・・』
 「・・・うん・・・?」

 ウスイのことばかり考えていたオレに、アスティはまたまたずばりと切り込んできた。

 『テレパシストって本当・・・?』

 違うよね?・・・と続くようなニュアンスを含んだ、彼女らしくない言い方だった。
 アスティはオレが否定することを望んでいる。
 
 「テレパシストだったら、どうする?」
 『えっ・・・どうするって・・・』

 意地の悪いオレの問いに、アスティは声を詰まらせた。
 
 「今日は休むよ、具合が悪いんだ・・・それじゃね」

 アスティが返答に窮している間隙をついて、オレはいつものように優しい穏 やかな声で言うと、彼女の返事を待たずに通話を切った。
 全てのことがどうでも良くなった。
 今までもそう思ってたけど、そこにあるのは投げやりな感情ではなくて、拠り 所を得た余裕から出てくる感情で。
 オレがテレパシストであることを知ってなお、オレのために怒ってくれる 奴がいてくれた・・・。
 それだけのことなんだけど、さっきまで裏切られたと悲しみに暮れていた 反動か、彼の行動に無性に縋り付きたい気分になっていた。

 ウスイはオレが遮ったあの時、なんと言おうとしていたのだろう。

 拒絶を恐れて耳を塞いでしまったオレに、ウスイのことを小心者だと笑う資格はない。
 冷たく突き放したオレに、ウスイはめげずに話し掛けようとしてくれたし、 テレパシストであることに気付きながら、オレに対する嫌がらせに真剣に怒ってくれた。
 それは、オレの抱えるこの能力を受け入れてくれた、ととれる行動だ・・・・・・期待 しすぎなのかもしれないけど、でも、少なくとも彼はオレを心底嫌悪することはなかった。
 逆にオレはと言えば、拒絶を、侵食を恐れ、ひたすら予防線を張っては逃げ回るば かりで、ウスイが抱える闇に目を向けようともしなかった。
 そのくせオレの能力への理解と許容を、無意識にウスイに求めていた。
 ウスイに対してだけじゃなく、今まで出会った人たちに対しても。
 オレからは働きかけず、理解してもらおうと努力もせず、他人を理解しようと もせずに、流れに身を任せてきただけだった。

 人のことを知りたい、と思った。
 ウスイが何を思っているか、何を考えているか。
 あいつが心にまとう昏い闇に、何が潜んでいるのか。
 ウスイは助けを求めていた。
 オレは手を握り返すべきだったんだ。

 オレはポンコツと一緒に枕を抱きかかえると、やわらかな布地に顔を埋めた。
 温かい。
 安心する。
 友情ってのは、こんな感じがするのかな・・・・・・。
 
 

:::



 翌々日、学校に行くと、誰もがオレのことを遠巻きにびくびくと眺めるようになっていた。
 心を読まれちゃたまらん、とばかりに逃げる逃げる。
 羊を追い立てる牧羊犬になったみたいだ。
 オレは恐怖心と嫌悪感の遠距離攻撃を軽く受け流しながら、1−Cに入った。
 途端、クラス中の視線がオレに釘付けになった。
 そして不自然に逸らされる。

 「セイラン君・・・」

 教卓付近にたむろってた集団の中から、アスティか声をかけてきた。
 
 「あのね・・・」
 「僕はテレパシストだよ」

 オレはいつもの笑みを浮かべてこともなげに言った。
 クラスメイト達の顔が引きつった。
 ノスも、デュランも、アスティも・・・みんな、みんなオレに優しくしてくれた人ばかりだ。

 「僕は人の心や感情を聞いたり見たりすることができる。でも僕はそんなことを好 き好んでしない。君たちが家に包丁を持っていても、それで人を刺してみようなんて 危なっかしいことをしないのと同じように」

 教室中のみんなに聞こえるように、オレは見渡しながらゆっくりと言った。
 窓際の一番後ろの席に、ウスイが座っていた。
 無表情にこちらをじっと見ているのが、ちらっと見えた。

 「隠していてゴメン。それと、今までありがとう。もう、これからは僕と親しく しない方がいい。僕が何もしないでも、テレパシストだというだけで反感を感じる 奴は山ほどいるから」

 オレは言いたいことを言い終わると、戸惑いを隠せない風の周囲を置いてけぼりに して、スタスタと自分の席についた。
 部屋に漂う色々な感情がオレにもやもやとまとわりついてきたけど、そんなことが 気にならないくらいの爽快感が、オレの身のうちからシュパッと噴き出している。
 後は野となれ山となれ、だ。

 HRの後、オレは校長室へ呼び出しを受けた。
 オレの能力のことを知っていたのは、この学校では担任と学校長だけだったらしい。
 勿論、ハガジのバックについている出資者がお金を大量に握らせて、オレを入学 させたことは間違いない。
 そしてオレを学校に置いておくだけで降って来る金を手放すほど、奴らは計算でき ないバカではなかった。
 オレに在学の意志を確認すると、あまり能力をひけらかすような真似はしない ようにとだけ注意された。
 言われなくたって、そんなバカこと誰がするもんか。

 教室に戻ると、オレに話し掛けようとする者は誰も現われなかった。
 多少の嫌悪感も混じっていたけど、困惑の方が今のところ大きいようで、みん な事態の流れを静観する構えでいるつもりらしい。
 ただウスイだけは静かに雑誌を読みながら、もじもじとオレに話し掛けたがっていた。
 相変わらずわかりやすい奴だ。
 それともう一人・・・アスティが遠くから心配げにオレのことを見つめていた。
 彼女は本当にいい子なのだと思う。
 誰の心も覗かないというオレの言葉を信じてくれる許容と、少数派に対する偏 見を笑って張り飛ばせる公正さを兼ね備えている。
 だからこそ、オレは彼女を巻き込みたくない。
 開いたパソコン画面を見ながら、オレは若干の寂しさを心の隅に押しやりつつ決意した。
 メールボックスに大量のメールが届いている。
 えーと・・・386通。まぁまぁだな。
 ざっと確認したところ、その8割が1つの内容をコピペしただけの、同じ 内容のメールだった。
 送信者欄はブランク。
 一昨日の警告野郎と同一人物だろう。

 そうこう思っているうちにまた1通のメールが届いた。
 送信者欄はやっぱりブランク状態。
 しかし内容は違った。

 『昼休み、数学準備室に来れたし。当方貴殿に伺いたいことある所存』

 オレは少し首をかしげると、速攻削除した。
 貴殿って・・・そんな呼び方されたの初めてだよ。